きみのしっぽ

「どこまでいけるのか知りたかった」と
きみがお気に入りのピンクの自転車と
ぼくの会社の前にいたときは
ホントに驚いたんだよ　何してるの？

満員電車で疲れた顔して吊革につかまるぼくを見て
「こっちに来ればいいのに」と網棚で笑うかもしれない

そんな話にきみは興味深げに大きくうなずいて
「それはとっても不思議な人だね」って言う
きみの事だよ！

頭なでると気持ちよさそうに目を細めるきみを見て
いつかしっぽが生えてきたりしないか
心配なぼくなのでした

ぼくの食べている　たこ焼きを
きみが物欲しそうにずっと　目で追っているから
「あげるかわりに何をしてくれる？」って聞いたら
ちょっとくやしそうにこう言ったんだ

「四つ葉のクローバーのある公園教えてあげる！」
……まぁいいけど　きみが幸せそうなのは
そいつのせいなんだね

いつも優柔不断なぼくだったけど　これからは違う
きみにランチのお店任せたら
いつも　たこ焼きになる

頭なでると気持ちよさそうに目を細めるきみを見て
いつかしっぽが生えてきたりしないか
心配なぼくなのでした

無言でぼくの背中に頭突きをするわけをたずねたら
「嫌なことあったのできみのカバンに隠れていいですか？」
入れるものならな！

いつも眠そうな目をしてるねって言うと怒るきみだけど
今日も相変わらず幸せそうに　夢の中だね
ほっぺつついたら指かじられるから　頭なでるけど
ひざまくらをしてほしいのは
むしろ　ぼくの方なんだけどな
la la la……

頭なでると気持ちよさそうに目を細めるきみを見て
いつかしっぽが生えてきたりしないか
心配なぼくなのでした